擬宝珠  屋台の頂に光り輝く擬宝珠!
 それは神の御威光を頭の上に戴いていると云う意味の表れであり、屋台が単なる鳴り物ではなく、屋台そのものが神聖な領域である事を象徴している。
 宝珠は神の御威光を具現化させたもので、その形はシンプルで非常に美しい曲線を持っている。
 一枚の平らな板からその曲線を打ち出す職人の技はまさに神業と言えよう。

 本展示会では、平成17年開催「匠の技−播州祭り屋台錺金具展」出展作品の中から、主に対になった意匠のものを選抜展示すると共に、新たに掘り起こした対意匠のものに加え、現在擬宝珠の白眉と云われている波に千鳥の先代を初めて展覧に掛けます。

意匠:波に千鳥
製 :文政8年(1825)購入
材 :(宝珠部)銅   (伏鉢部)真鍮
技法:(宝珠部)銀メッキ(伏鉢部)金箔押し
地区:灘・松原八幡神社/東山【個人蔵】
 東山屋台の先代擬宝珠。
大坂天満宮の祭禮に使用されていたものを文
政8年に購入。東山屋台には若干小振りであ
る為、台座の上に載せられ、練り出されてい
た。
 波部分に小さな穴が開いているが、純金・
純銀製の千鳥が取り付けられていた跡。その
絢爛豪華さは平成6年製の現擬宝珠に受け継
がれている。
平成6年製擬宝珠を「匠の技−播州祭り屋台
錺金具展」記念写真集『意を打ち技を鏨る』
に収録。