狭間  播州祭り屋台装飾の花形は、何と言っても狭間!そこには、かつては一世を風靡し、全国にその名を轟かせた、数多の播州彫刻師達の、意(こころ)が彫られている。
 播州屋台の狭間彫刻は、飾磨の黒田一門・松本一門の手により、その多くが作られて来たが、松本系では今や二代目小河義保師一人となり、黒田系は地元播州ではその枝を見つける事は出来なくなった。
 しかし乍ら近年、頑なに技法を守り続けた小河師の他、新たに学んだ技法を用い、先人の技を超えんとして果敢に取り組んだ工匠達が現れ、彫刻の本場富山県井波で修業し「祭りの血」とも言うべき地元の熱い想いを鑿に込めている。その作品は、播州屋台彫刻の新たな系譜を予感させる。現在も屋台彫刻は力強く承け継がれているのだ!

 本展示会では、平成8年開催「匠の技−播州祭り屋台の彫刻展」出展作品の中から選りすぐりの逸品に初出展作を加え、松本一門からは花岡⇒初代〜三代目松本・堤・小河と現在へ連綿と?がる系譜の作品を、黒田一門からは地元にあまり作品が多くない為、その系譜に連なる淡路・岸和田の名工の作品を、更に上記の前途有望な若手工匠の溌剌とした作品を展示致しました。心ゆくまでご堪能下さい。

意匠:梶原景季の奮戦(生田の森)
   安宅の関(弁慶勧進帳)
   巴御前の勇姿(近江の合戦)
   本能寺の変(森蘭丸の奮闘)
製 :平成6年(1994)
作 :松田正幸
材 :檜
地区:飾磨・中島天満宮/中島
 平成6年、30数年振りに大屋台を復活させた中島地区は、狭間彫刻を黒田一門で、飾磨で修業した最後の彫刻師であり、淡路の名工・松田正幸師【初代〜二代目〜三代目黒田正勝〜】に依頼した。
 ある意味では最後の飾磨彫りと云えるかもしれない。