4.ま と め

(1)先づ、今回の調査に対する回答数(寄贈4・寄託38・貸出155件)をどう評価するかだが、勿論この物件数
   のみで提案書に記載した展示を全てカバーする事は難しいが、3.各広場別考察で記述した様に観光的にも文
   化財・民俗学的にも、又屋台学的博物館要素面でもそれなりの展示展開が可能と思われる。

(2)特に匠の広場の播州彫刻に於いては、露盤・狭間の主要部位のみならず細かな部位・特殊な物件迄揃っている
   上、現在弊会が調査・良質保存中の播州飾磨彫刻師・故堤義法師の下絵・鏨等の道具一式を有しており、現段
   階でも播州オリジナルの展示展開が可能である事は高く評価出来る。

(3)又匠の広場では、全国唯一の神輿屋根型屋台を持つ播州地方の会館として、欠く事の出来ない内部構造をお見
   せする棟を既に蒐集しおり、更に今回寄託回答が1件あった事も高く評価出来る。

(4)更に文化財広場では、伊達綱や房といったポピュラーなものは既蒐集・寄託回答があった事に加え、唯一無二
   と思われる物や、他では手に入れる事が極めて困難な物件を既に蒐集している事は高く評価出来る。只、隅絞
   に寄贈・寄託回答が無かった事は、左程蒐集が困難でないとはいえ若干割り引かざるを得ない。又絵馬の寄贈
   ・寄託は困難であろう事から企画展示に活用し、古文書・絵巻物は寄託を進展させ、常設展示が出来る様にす
   る必要がある。

(5)市民の広場については前掲の通り、愛好家・個人を対象に蒐集する必要がある。

(6)問題は、賑い広場の蒲団屋根型屋台、体験広場の獅子、匠の広場/縫物の昼提燈、及び匠の広場/錺金具の擬
   宝珠・露盤・梵天である。類型すると、@蒲団屋根型屋台付帯物件=蒲団屋根型屋台本体・昼提燈・梵天 A
   錺金具主要部位=擬宝珠・露盤 B獅子に大別されるが、@については姫路市内は神輿屋根型屋台が主流であ
   るが、播州一円での絶対数は蒲団屋根型屋台の方が多く、開館に向けては蒐集対象地域を拡げ、神輿屋根型屋
   台に比して更新周期が長い事も考慮に入れ、更新情報へのアンテナを高くし、タイミングを逸さず中長期に亘
   って蒐集する必要がある。又Aの擬宝珠については、更新タイミングを見て指名蒐集すれば解決すると思われ
   る。一方金具製露盤に関しては絶対数が少ないので、当面は企画展示活用とし、詳細情報を集め彫刻露盤に変
   更する地区があれば、都度指名蒐集する長期戦略が必要である。次にBについては更新が極めて稀であるので
   蒐集は困難ではあるが、現在各地区で保管してある退役物件を調査し、指名蒐集により幾点かでも確保を目指
   す必要が有る。

(7)以上広場によっては大小問題点も抱えているが、会館建設が成ればと云う前提に立ったとはいえ、実際には建
   設に向けて大きな進展が見られない中での調査であった事を考慮すれば充分に評価出来、建設が現実のものと
   なれば飛躍的に寄贈・寄託物件は伸びる。

(8)従って開館当初は、既寄贈・寄託物件並に寄贈・寄託回答物件と貸出物件とでローテーションを行い、オフシ
   ーズンの常設展示を展開する一方、そうする事で貸出元との連携を強固にし情報を得易い体制を整備すれば、
   更新タイミングを逸する事無く寄贈・寄託蒐集が進展し、寄贈・寄託物件のみで常設展示のローテーションが
   行え、展示品の硬直化問題は解決し、来館者の伸び悩み懸念解消にも大きく寄与する事となる。

(9)現在最も重要なのは、今回寄贈・寄託回答戴いた物件の中には、地域固有文化として極めて貴重な物件も含ま
   れており、時期を逸すれば散逸する恐れもあり、この機会に寄贈・寄託を受諾する事を強く要請する。

(10)最後に、ザ・祭り屋台in姫路の終了する平成20年度以降、市民の愛郷心を高め、祭りどころ姫路を全国にど
   うPRして行くかと云う観点からも、兵庫県立歴史博物館が予定している祭禮分野の整備では表せ切れない、
   提案書に謳う三つのコンセプト(@播州固有文化に常に触れる事を通して地域コミュニティの継承・創造・形
   成に資する施設 A播州固有文化を常に情報発信出来る施設 B播州固有文化の保存(研究)・継承の施設)を
   併せ持つ「播州屋台会館(仮称)」の実現は、姫路市が標榜する「歴史・文化の香る国際交流都市」になくてはな
   らない施設であり、早期の意思決定が必要である。