編集後記
込められたこころ意を承け継いで

 昨平成11年秋、当連絡会内に、
  1.播州地域に於ける各地区の祭礼の調査・研究
  2.播州地域に於ける各地区の祭・屋台文化の広報・普及を通して
   (1)関係資料の収集・蓄積
   (2)ソフト・ハード゙両面に亘る地域固有文化の保存 を目的に研究室が設置されました。  

 具体的な活動としては、各地区が保有されている播州彫刻・水引幕等の行政サイドへの寄贈・寄託支援を主に行って参りましたが、今般、姫路市書写の里・美術工芸館からの要請に基づき、「匠の技−播州祭り屋台刺しゅう展」に対し協力させて戴くと共に、その記念写真集を研究室の手で纏める事となりました。 

 現存する「絹常」の名品と云う事であれば、まだまだ多くの作品が残されているとは思いますが、展示スペースの関係もあり、昭和30年頃迄の絹常全盛期の作品を主に取り上げました事をご容赦下さい。

 平成8年に播州彫刻を題材に「意を彫り技を刻む」(社団法人姫路青年会議所編)を刊行した時と同様、縫師の意を大切に受け継ぐ事こそ我々の使命と考え、今回のタイトルも「意を縫い技を織る」と致しました。

 これで彫刻・縫物と、播州の祭りを彩る屋台の三大装飾の内、二つの要素を図録として後世に残せる事になりました。(ホームページにも掲載予定)いつの日か残る一つ、カナセ・カナキ等、地元播州が誇った名錺金具師の作品の展示会が開催出来、併せて図録として出版出来る日が来る事を念じつつ、研究室としてのあとがきに換えさて戴きます。                                               
 
平成12年6月吉日         屋台文化保存連絡会 研究室
 
 
「播州屋台会館」の早期建設を!! 

平成10年7月、(社)姫路青年会議所の祭・屋台文化保存活動を受け、約50の自治会と(社)姫路青年会議所とにより当屋台文化保存連絡会が発足致しました。
 現在は、会員数も市内外70地区・団体にまで拡大し、まだまだ充分とは言えませんが挙市体制が出来つつあります。

 当連絡会は発会以来一貫して、「屋台会館」の早期建設を提唱して来ました。これは単なる観光施設としての会館ではなく、祭りを、現代社会に於いて最も欠けている子供・若者から老人・女性に到る迄、地域の全ての人々によって作り上げられるコミュニティ創造・形成の場、地域固有文化継承の場であるとの認識に立ち、このコンセプトによって展示展開がなされ、勿論、播州の祭・屋台文化研究・情報発信基地の性格をも兼ね備えた施設としての「屋台会館」の必要性を訴えて参りました。

 歴史と風土に根ざした祭りに関する習俗、或はその祭りで使用される文化財は、調査・研 究・収集が遅れると、遅れた分だけ後に伝えられる可能性が低くなってしまいます。だからこそ、今から手を着けて行かなければならない事、即ち左記の研究室設置による関係資料の収集・蓄積、ソフト・ハード両面に亘る地域固有文化の保存等、将来の「屋台会館」開館に備え活動を展開しているところです。

 こうして集めた関係資料や文化財は可能な限り、当会が思い描く「バーチャル屋台会館」と共に、今夏開設予定のホームページにてご覧戴けます(http://www.matsuri.gr.jp)ので一度アクスして戴き、ご意見・ご感想(info@matsuri.gr.jp)を賜れば今後の参考にさせて戴きます。

 最后になりましたが、本写真集出版にあたりご理解賜った出展元各位は元より、多大なご支援を頂戴した姫路市書写の里・美術工芸館を始めご協力賜った全ての皆様に心より深く感謝申し上げます。有難うございました。
 

平成12年6月吉日         屋台文化保存連絡会 事務局